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柿の木と大切な場所が退かされて ③

Byはちみつ色の陽だまり

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14日、午前7時前。

トコトコと歩いて行けば左に見える●学校のブロック塀。

「こんなに低かったっけ?」

そう問うランサー君に


陽 「ランサーが大きくなったんだょ(*^^*)」


空を見上げながら「朝陽は?」

陽 「あとね、一時間チョット掛かると思う」


やがて休耕田の中を歩きつつ

所々土が盛り上がって居て


陽 「前に話したイノシシ君が鼻で掘った跡だよ」

少し驚いた顔をしながらも、ランサー君の視線は柿の木。


「あー、これか?」

「うん、そう!」


スクリュウの様な枝を見付けて、強く握って

「復活しろよ、必ず」って声を掛けてくれた。



いつも一方的に話していた事を、ちゃんと聞いていたんだと

そんな事でさえも、感情が動いてウルウルする私は

余程、涙腺の蛇口が緩んでいるに違いなく



唐突に思いつく。(^^♪


陽 「今年は \干し柿/ 作ろうか?」
ラ 「え?」
陽 「その時はランサー君、食べてよね」
ラ 「ええー?」
陽 「決まり~ (笑) 頑張るよ、作った事無いけど♡」
ラ 「え゛っ!」

この瞬間だけ、少し緊張が取れた顔を見せた。

また、トコトコと降りて帰る家路。


悲しみが詰まって居る家は重い空気に包まれていたけど

ランサー君は迷わず玄関を開けた。



一瞬私を見て悲しそうな顔を見せたけど

部屋へと戻って行った。




ああぁー、  ああぁー

普段使わない言葉だって山ほど覚えて来た筈なのに

ありふれた言葉だって溢れかえっているのに

こんな時に何にも出て来ないんだから



何の役にも立たないじゃないか。




情けなさを感じながらも、ケージや周辺のお片付けをした。


狭い場所なのに、ガランと広がる空間は

天井も底もない程に広がって見えた。




きっと、ケリー達が持って居た存在の大きさなのでしょうね。

私にできる事は、心を込めて綺麗にすること。




しばらくはこの空間を家族で共有して

お別れした悲しみと傷ついた気持ち分け合って

徐々にケリーの居ないその暮らしに慣れるしか無いな…



そう思って自分も部屋に戻った。





お昼頃だったかな、玄関周辺を通りかかれば

見慣れたシャコバサボテン達が無くなっていて⁉




んん?





えええー Σ(・ω・ノ)ノ!





それは日当たりの良い、ケリー達の居場所に鎮座している。



なんで…        なんでだ… 





義母自身、ケリー達が居なくなって寂しいから

お花を置き換えたと言う。





寂しいのは充分、分かるけど






そんなの、分かっているんだけど!







分かってんだけどさぁ…💢




私は、



私は まだ… 



悲しみの整理が全然付いてないんだょ!



ケリー達を退かさないでょ。






今朝もケリーに会いに行ったけど涙溢れて参った。

ケリー達を、私の子どもだと思っていたのは

紛れもない自分である事に改めて気付いた。




14日、夕方になって相方殿が帰宅。


酷く疲れた様子で着替えていた時に

いつもと同じく「おかえり」と声を掛けた。




日課となっていたケリーとの挨拶もコーヒータイムも

もう、居ない事に壮大な寂しさを隠し切れない。




「今日は精神的にキツかった」



そう言っている相方が痛々しくて

背中から強く抱きしめたょ。


(正面からでは泣けないでしょ、男子としてのメンツがあるもん!)




陽 「今日はケリーを偲びたかったもんね」


陽 「よく頑張ったね、 頑張ったね… 」





相方が泣いている。


声をあげて泣いている。






「オレ、ケリーと一緒に昼寝もしたし」


「おどけて見せるんだ…」


「拗ねたら、オレの頭に乗って来てさぁ…」




脳裏にフラッシュバックする多くのシーンが

途切れた言葉になって詰まらせる。




そうだね…  そうだね…   そうだったね…




思い出が堰をきって溢れて来るのは同じだょ。






ええ歳したオッチャンとオバチャンが二人して泣いている。



手のひらに乗っかるほど小さな体の


でっかい愛を持ったケリーを偲んで泣いている。




この時、相方も同じなのだと思った。


ランサー君と共有できない時間を埋めてくれたケリーも

紛れも無く愛しい我が子だったのだと。
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